私が教室に入った途端、さっきまでざわざわしていた室内が静まり返る。
みんなが交互に見るのは私と……篁くん。
もう来てたんだ……。
どうしよう……と思いながらも、注目を集めている手前、立ち止まっていられなくて私は足を進める。
ありさは……まだ来ていないみたい。
姿もなければ、机に荷物もない。
篁くんの横を通り過ぎ、自分の席に荷物を置いた瞬間、
ガタンッ。
私のすぐ後ろで、椅子を引いた音。
振り返ったりこそしないものの、後方に意識を集中させると、篁くんが教室を出て行ったのが分かった。
……たぶん、私のことを避けてるってことだよね。
昨日、自分がしたこと、言ったことを考えれば、篁くんの行動は当たり前。
私だって、避けてくれるぐらいの方が助かる。
それなのに……ズキンと胸を痛めている自分。
このまま全部、なかったことになるのかな……。
そう考えると悲しい、寂しい……だけど、仕方ない。
だって、私は……。