あれから……授業に戻ることなんて、とてもじゃないけど出来なくなった私は、保健室へと向かった。
泣き腫らした目に、保健室の先生はびっくりして。
後から呼ばれて来た増田先生も、私の顔を見るなり「今日はもう早退していいから」と、言ってくれた。
朝はあんなに晴れていたのに、私が学校を出る頃には曇っていて。
夕方には、とうとう雨が降り出していた。
そして……翌日、今日も雨。
バサバサッと、傘についた雫を落として畳む。
学校の玄関には、雨のせいで運動部の朝練がなく、いつもより人が多い。
本当は今日、学校に来たくなかった。
だって……。
「あ、あの子でしょ? 蒼空くんにマジで告られてた女の子って……」
「でも断ったんでしょ?」
「うそ! 何でっ!?」
……ほら、やっぱり。
廊下を歩いているだけで、ヒソヒソと聞こえてくる声。
女子達から絶大な人気を誇る篁くんのこと。
鍵さえ閉めていたけれど、きっと誰かが聞き耳を立てていただろうと思った。
好き勝手言われる噂話も、降り続く雨のように億劫だけど、それよりも……。