私は一方的に言い放ち、そのまま鍵を開け、教室から飛び出した。


心臓はまだ肩に頭を乗せられた時のまま、ドキドキしている。

ううん……あの時よりもずっとずっと、強く鼓動を打っている。


まさか篁くんに、好きだと言われるなんて思わなかった。

篁くんが私のことを……好きなんて。



どこに向かっているのか分からない。
だけど、逃げるように走る私。

授業の始まりを告げるチャイムが鳴ってから、階段の踊り場でやっと足を止めた。

そのまま、ずるずると座り込む。



好きという感情が分からない。

私は恋なんかしない。


……そう思っていたはずなのに。


「ふっ、えっ……」

どうして私は今、泣いているの……?


ぎゅっと目を閉じれば、浮かんで消えないのは間近で見た篁くんの真面目な顔。

そして、


『高宮のこと……本気で好きだって言ったら、どうする?』


真っ直ぐ伝えられた言葉。