「俺だって、ありえねーと思ったよ。高宮に近付いたのだって、初めは澄ましてる顔がムカついただけで。だけど気付いたら、頭の中あんたのことばっかで」


目の前で、苦しそうな顔をして言う篁くん。


「本当はすっげー弱いくせに強がってて。そのくせ、我慢してるのは全部他人(ひと)のためで……。バカだなって思うけど、すごいとも思ってた。俺はそんな純粋にはなれなかったから」


やめて……。

そんなに真っ直ぐ、私の話なんかしないで。


「そんな高宮のことが、いつの間にか俺は……」


「やめてっ!!」


私は篁くんの言葉を遮るように叫んで、篁くんを突き飛ばした。


「私は……好きとかそういうの、分からない」


だって永遠なんてない。
いつかなくなってしまうかもしれない、かたちもないものなのに。


「篁くんも私と同じだと思ってたのに……」


恋とか愛なんて、信じていないと思ってた。
誰かを本気で好きになるなんて、ないと思っていた。

それなのに……。


「もうそういうこと言わないでっ!」