「待てよ」
歩く私の腕を、篁くんがパシッと音を立てて掴んだ。
「な……」
びっくりして顔を上げると、今日初めて真っ直ぐ見る彼は……とても怖い顔をしていて。
「来い」
グイッと私の腕を引いて、向かっていた先とは逆方向に歩き出す。
「なっ、なにっ……」
慌てて篁くんの手を振りほどこうとするけど、びくともしない。
痛いくらいに強い力で掴まれた腕。
「離してってば!」
必死に抵抗してみるけれど、篁くんはそのままスタスタと早足で歩く。
痛いのは腕だけじゃない。
周りの人達の視線も突き刺さるよう。
もちろん、ありさだって私達を見てるはずで。
なのに、こんなの……こんなのっ……!!
逃げることも出来ず、どうしたらいいか分からず、連れられるまま進む私。
やっと解放されたのは、今はもう使われていない空き教室へ、篁くんに連れ込まれてからだった。



