「高宮っ!」
後ろから叫ぶように大きな声をかけられ、ビクッとして足を止める。
振り返って見てみれば……やっぱり。
駆け寄って来たのは、篁くん。
「な、何……?」
ありさが一緒にいる手前、無視することも出来なくて、とりあえず返事をする。
だけど、篁くんの顔は見られない。
「高宮って頭良かったよな? 休んでた時の数学なんだけど、ちょっと教えてくんない?」
「え……」
どうして今、私にそんなこと言うの。
戸惑いつつもありさの方を見れば、案の定複雑そうな表情を浮かべている。
「……数学なら、ありさだって得意だよ」
「は?」
私の言葉に、明らかに不機嫌な声を出す篁くん。
だけどそんなの構わず、私は「ね、ありさ」と同意を求める。
「え、あ……うん。ゆづほどではないけど……」
「ほら、そういうことだから。ありさに教えてもらって」
そう言って、私はふたりに背を向けた。
大丈夫。ふたりは幼なじみだもん。
それに、私は篁くんのことが嫌い。
ありさに任せたことに、何の違和感もない。
……と、思ったのに。



