「あぁ……じゃあまた後で」
ありさに言ったのか、私に言ったのかは分からない。
だけどそのまま、篁くんは少し急いだ様子で職員室へと向かった。
玄関に取り残された、私とありさ。
急にふたりになって、私は気まずさに襲われる。
篁くんに声をかけようとしただけで、別に何も悪いことをした覚えはない。
だけど、思い出すのは……。
『あんまり篁くんに近付かない方がいい。天崎さんを不安にさせるだけだよ』
影山くんに言われた言葉。
「……ゆづ? どうしたの? 行こう?」
声をかけられ、ハッと目の前を見ると、既に靴を履き替えたありさが不思議そうに首を傾げ、微笑んでいた。
ふたりになっても変わらない。
いつも通り笑顔を向けてくれるありさに、なんだ……と、ホッとする。
「あ、うん……」
私もありさに微笑んで、靴を履き替え校舎に上がる。
ありさを不安にさせるなんて、きっと影山くんの考えすぎ。
そう安堵したのもつかの間……だった。



