黙り込む私の様子に、「ほら」と篁くんが呟く。

じゃあ、なに。
私が篁くんを最低な男だと思っていたのは……誤解だったってこと?

真実を聞かされて、急に複雑な気持ちになる。

今まで篁くんに言ってきたこと、謝った方がいいのかな……。

でも……。


「どうしていきなりこんなこと……」

「高宮には勘違いされたくなかったから」

「……え?」


さらりと言った篁くんの言葉に、顔を上げる。

その時だった。


私達の横を通りすぎようとした車。

見覚えのあり過ぎる白の普通車が目に入った瞬間、私はビクッとして、反射的に篁くんの影に隠れた。

車は止まることなく、角をゆっくり右に曲がって消える。


なんで……帰ってくるの、夜じゃなかったの?


「高宮?」

「あ……ごめん。父さん、帰ってきたみたい」


篁くんに問いかけられて、ドクドクと鼓動をうるさくさせながら返事をする。

……そう、さっき通り過ぎた車は父さん。