「ちょっと待ってよ、そこまで言ったんなら……」

ちゃんと話してよって、催促しようとする。

だけど、


ぽんっと、私の頭の上に降ってきた手のひら。


「これから大事な話しなきゃならないんだろ」


篁くんの行動に、言葉にびっくりして、顔を上げる。

すると――。


「頑張れ」


篁くんは私にそう言って……微笑んだ。


「っ……」


いや、待って。反則。

篁くんは、仮にもうちの学校で1番カッコイイと噂の男子。

そんな人に不意打ちでこんな顔をされたら、さすがの私だって……ドキッとしてしまった。


「こっ、こうやって色んな女の子落してきたんだ?」

不覚にも思わず赤くなってしまった顔を見られたくなくて、言いながら顔を逸らす。


私は騙されたりなんかしない。

頭ポンとか、笑顔なんかに騙されたりしないんだから……と、ドキドキしている自分自身に言い聞かせていると、


「自分からこんなこと、他のやつにやったりしねーよ」


篁くんがそう、目の前で呟いた。