思い出してまた憂鬱になっていると、


「高宮、家この辺?」

「え、あ……裏の道をちょっと歩いたところだけど」

「ふーん、じゃあ送る」

「えっ……」


私が返事をする前に、歩き出した篁くん。

それを、慌てて私は追いかける。


「あのっ……」

まだ昼間だし、送ってもらうほどの距離じゃない。

大丈夫、ひとりで帰れる……と、断ろうとするけれど、


「なに?」

「え、えっと……」

振り返って問いかける篁くんに、その先の言葉が続かない。


どうしよう。
まだ……一緒にいてほしい。


「た……篁くんって、最近少し雰囲気変わったよね」

「は?」

「なんて言うか、話しやすくなった……っていうか」


気付いたら私は、断らずに言葉を変えていた。

私の発言に篁くんは、何故だかバツの悪そうな顔をして。
フイッと私に背を向けると、また歩き出した。


「道、こっちで合ってる?」

「あ、うん……」

一方先を歩く篁くんを追って、私も再び足を動かす。