静かに呟いた篁くんは目を細め、とても寂しそうな顔をしていて……。


泣きたいのに、泣けない。
自分の感情が分からない。

そう言わんばかりの表情に、ぎゅっと胸の奥が苦しくなる。


「あ、の……」


どうしてなのか分からない。
だけど、そんな顔して欲しくなくて。

私が声をかけようとした……瞬間。


ぎゅるるるる……。


「「……」」


鳴り響いた音に、私も篁くんもピタッと固まる。


それが何の音なのか、自分が一番よく分かってる。
分かってるから、顔を真っ赤にさせてうつむく。

よりによって、何でこのタイミングで……。


確認するように、そっと顔を上げて見て見ると、

「……っ、ははっ! 腹で返事するやつ初めて見た!」


篁くんは吹き出して、お腹を抱えていた。


「そっ、そんな笑わないでよっ!」

「はいはい、早くメシ食おうな」

「だからっ!」


真っ赤になりながら声を張り上げる。

だけど、篁くんにスプーンを差し出されて、私は黙ってそれを受け取った。


悔しいけど、お腹が空いていたのは事実だし……ホッとした。


篁くんが笑ってくれて……良かった。