「でも、篁くん私に言ったよね。どうせすぐなびくくせに……って」
忘れたなんて言わせない。
私を睨みつけて、篁くんが言ったこと。
「あれは?お母さんと比べて言ったんじゃないの?」
真面目な顔をして問いかけた私。
だけど篁くんは、「よく覚えてんな」と苦笑して。
「あれはあの人と比べたっていうより、純粋に高宮のことがムカついただけ。今まで俺のこと嫌がる女子なんかいなかったのに」
「何それ……思い上がりすぎ」
「いきなり引っ叩かれたりしたら、誰だって何こいつって思うだろ」
「なっ……!」
あれだって、元はと言えば篁くんが悪かったんじゃない!
そう反論しようとする……けど。
「まあ、ひとつだけ比べたって言うんなら……高宮もバカだなって。もっと気楽に生きればいいのに、周りに気ぃ遣いすぎてバカみてぇとは思った」
「……」
この人は、口を開けば私のことをバカバカって……。
でも、今の私には痛いくらいに突き刺さる。
「私はどうせバカだし、小さい人間ですよ……」
うつむいて、消え入るような声で呟く。



