すき、きらい、恋わずらい。



Tシャツにロングスカート。そこに、薄手のパーカーを羽織って。

私が出かけた先は、少し歩いた所にあるコンビニ。


自分で何かを作って食べる気にはならず、適当に出来合いのものを買って帰ろうと思った。

でも……。

普段なら、おにぎりやお弁当が陳列されている冷蔵庫の前で立ち尽くす。

お昼をすっかり過ぎてしまったせいか、品物があまりない。


もうパンとか軽い感じにしようかな……。

そう思ってその場を離れようとした時だった。


「……高宮?」


誰かが私の名前を呼んで、振り返ると……そこにいたのは、篁くん。


「な……」

「なに、昼メシ買いに?」

思いがけない人の登場にびっくりする私を置いて、普通に話しかけてくる篁くん。


「あ……うん、そんなとこ。そっちは?」

「俺も同じような感じ。墓参りの帰りで」

「え……」


墓参り……?

篁くんの口から出てきた言葉に、目を丸くすると、


「母親死んでんの、高宮知ってんだろ」


特に感情のこもっていない声でそう言った。