すき、きらい、恋わずらい。



ただでさえ気まずいのに、もっと追いつめられるようなことを言われて。

私は影山くんが戻ってきてから、逃げるように作業に集中した。


その甲斐もあって、思っていたより早く出来上がった色紙。

明日からみんなに回していこうという話になって、私は影山くんと一緒に教室を出た。


「……」

玄関まで並んで歩くけど、会話は特にない。

影山くんには悪いけど、気まずすぎて正直早く離れたいな……なんて思っていると、


「高宮さんの家ってどこ? 送っていくよ」

ローファーに片足を突っ込んだ私に、そう言ってきた影山くん。


私は「え……」と純粋に声を漏らした後、

「ううん、大丈夫! 今日はちょっと用があって駅の方に行くから!」

言いながら、慌てて首を横に振った。


駅なら学校から近いし、送ってもらう程じゃない。
それに、まだそんなに遅い時間じゃないし。

当たり障りなく自然に断ったつもり……だったけど、


「用事……って、もしかして高宮さん今日都合悪かった?」

「あ、ううんっ! 時間とかは全然平気だから」

「ならいいけど……」


そう返事をしながらも、申し訳なさそうな顔をする影山くん。