すき、きらい、恋わずらい。



……気まずい。

冷静を装いながら、ペンを握る手には冷や汗。


真正面から向かい合った私達。

教室にまだ他の生徒がいる時は、何てことのない話題で普通に会話出来ていた。それが、ひとりふたりと帰っていって。


いつの間にやら影山くんとふたりになってから、私はまともに顔を上げられずにいる。


ただひたすら、色紙に集中しているフリをしているけど……つらい。

やっぱり、追いかけて引き止めてでも、ありさに手伝ってもらうべきだった。

だけど……。


「天崎さん、ちゃんと追いついたかな?」

突然口を開いた影山くんに、ビクッと肩を震わせる。

「ほら、篁くんに」

「あ、あぁ……」

何のことを言っているか、詳しく説明されなくても分かった。


「頑張ってくる」と言って、急いで教室を出て行ったありさ。

その前には篁くんが教室を出ていて、ありさが彼を追いかけていったことは明白。


「上手くいくといいよね、天崎さんと篁くん」

にっこり笑顔を浮かべ言った影山くん。


上手くいく……って、ありさと篁くんが付き合ったりすること……?

難しいことを言われたわけじゃないのに、私は一瞬フリーズする。