そんなの違うのに。……ていうか、私だって篁くんが何を考えているのか分からない。
もしかして……なんて、あの時こそ私も思ったけれど、あれから篁くんは以前のようにウザ絡みしてくることもなく、あくまで普通。
女の子達との関係を一掃してから、本当に普通のクラスメートみたいな対応しかされてない。
それなのに……。
「どっちかっていうと、ゆづは被害者なのにね」
「え?」
「蒼空の気まぐれに振り回されて、こんなことになっちゃって」
気まぐれ……。
ありさの言葉に、『そっか』と納得する。
急に女の子達への態度を変えたのも、あの時私にノートを貸せと言ってきたのも、篁くんの気まぐれ。
私の話を聞いてくれたり、心配する素振りをみせたり、「素直になれば」と言ってくれたのだって……篁くんの気まぐれ。
なんだろう。
あぁ、そっか……って、すごく納得しているのに。
胸の奥、ポッカリと穴が空いてしまったよう。
切ない? 寂しい? 残念?
自分でもよく分からない気持ちに、抱えた荷物をぎゅうっと抱きしめた。
そんな私の様子を、ありさが見つめていたことに気付かずに。