それから……2日後。
熱も下がって、篁くんは登校してきた。


結局ありさが篁くんの家に行ったのは、あれから一度だけだったらしい。

『うつるから帰れって、追い返されちゃった』

そう苦笑して、残念そうに報告してきたありさ。


何故だか分からないけど、それを聞いてホッとしている私がいて。

そんな自分の感情に困惑しかなくて、後ろの席に座った彼の顔を、何となく見られないでいる。


そして、当の本人は……と、いうと。


「蒼空くんもう大丈夫なの?」

「すっごい心配したんだよー! 蒼空くんいなくて寂しかった〜」

「篁くんの風邪ならうつしてほしーい!」

「バカ、何言ってんの。蒼空くん大変だったんだから!ね?」


わいわい、がやがや。

クラス問わず女子達に取り囲まれ、いつもの光景。……いや、数日休んでいたせいで、いつもよりも圧倒的に騒がしい。


さっきから女子が椅子にぶつかってくるし、早いところありさの元へ避難しよう。

私が席を立とうとすると、こっちを見ていたありさと目が合って、苦笑いを返された。