「あ、えっと……」
何て言おうかと考えていると、
「頼まれものって何」
篁くんは私からありさにフイッと目を移し、問いかけた。
……なに、今のって無視された?
ありさに頼まれたといえど、せっかくお見舞いに来てあげたのに、ちょっとムッとする。
「えっとね、今日配られたプリント類と、本と……」
そんな私には気付かず、ありさはまだ緊張している様子で、カバンを開け渡す荷物を取り出そうとする……けど。
「っ……」
「え、蒼空っ!?」
ズルッと、突然前のめりに倒れそうになった篁くん。
ありさの肩にぶつかって、私は咄嗟に彼の肩を掴んで支えた。
「わるい……」
頭を抱えながら自分で立とうとするけど、
「すごい熱だよ……」
近付いてみてびっくりした。
マスクでよく分からなかったけど、よく見ると顔も赤く、身体中が熱くて、息も上がってる。
「病院は?」
「今朝行った」
「じゃあ、とりあえず家の中に入ろう」
私とありさは顔を合わせ、こくんと頷くと、篁くんの両脇について、支えるようにした。



