すき、きらい、恋わずらい。



……まさか、私まで篁くんの家に行くことになるなんて。

放課後、ありさと並んで歩きながら、ほんの少しだけ緊張していた。


でも、私よりももっと緊張している様子なのはありさ。

今にも泣き出しそうな顔をして、「お願い!」なんて両手を合わされたら、とても嫌だなんて言えなかった。


それに、私も篁くんに……。


「ねぇ、先生に頼まれたものって何?」

さっきから黙り込んだままのありさに、私は緊張を解す意味合いも込めて問いかけてみる。


「あ、うん……今日ホームルームで配られたものと、本だったかな」

「本?」

「うん、蒼空が図書室にリクエストしてたものなんだけど、先生がずっと寝てるのも退屈だろうからって」


本、図書室……。

ありさの言葉を聞いて、この前篁くんと話したときのことを思い出す。

てっきり女子と一緒だと思ったけど、一人だったって言っていたっけ。


「篁くんって読書とかするの?」

「うん、昔から読書好きだったよ」

「へー……そうなんだ」


はっきり言って、意外。

女の子を取っ替え引っ替えの遊び人っていうイメージが強すぎて。