……でも、何でそんな困った顔をするの?
篁くんのことが好きなんだから、これは都合の良い出来事じゃないの?
「良かったじゃん……?」
私が確かめるみたいに言うと、
「全然良くないよ!」
ありさは少し声を大きくして、俯いた。
「全然良くない……どんな顔して行けばいいのか分かんない」
「でも、幼なじみでしょ? それなら、何だかんだで……家に上がったりとか出来るものじゃないの?」
「そんなの小学生の頃までだよ。中学に入ってから自然と距離が出来ちゃったし、お母さんのこともあったし……」
ゴニョゴニョと語尾を濁らせるありさ。……と、思ったら、急にパッと顔を上げて私を見て。
何だかとても嫌な予感がした。
「ゆづ、お願い! ついてきて!」
ぎゅっと目をつむり、顔の前で両手を合わせるありさ。
「……」
もしかしてとは思ったけど、やっぱり。
思った通りだった。



