「土曜日どうだった?」
「え?」
「お母さんのお誕生日、だったんでしょ?」
ニコッと笑顔で問いかけられて、「あ、うん」と返事する。そして、
「お母さんとね、暮らすことにした」
私は静かに微笑んで告げる。
「父さんにはまだ話してないし、今すぐにっていうわけじゃないんだけど……お母さんが、やっぱり一緒に暮らそうって」
言葉にしてみれば、恥ずかしい気もして何だかくすぐったい。
……でも、嬉しい。すごく嬉しい。
「そうなんだ……! 良かったね!」
たぶん、きっと、出来ればお母さんと暮らしたいという私の気持ちに気付いていたありさ。
そっと告げた知らせに、ありさもまた嬉しそうな笑顔を浮かべ、頷いてくれた。
「お母さんのところに行っても、学校は今のまま通うんでしょ?」
「うん……ていうか、今のお母さんの家だとちょっと狭いから、他の部屋探すかな」
「そっか。何か色々楽しみだね」
「うん」
そんな雑談をしていると、私もありさもいつもより遅い時間に来たこともあってあっという間にチャイムが鳴った。