すき、きらい、恋わずらい。


「お前、今日家にいる?」

「え、うん……たぶんいるけど」

「じゃあ今日行くから」

「えっ……」

さらっと言った篁くんの言葉に、動揺の声を上げたのは、聞いていた女子3人。


「親父の頼まれもん渡しに行くだけだから」


ありさに言ったのか、それとも女子3人に言ったのか。
彼はそう付け足すと、「遅刻すんぞ」と言って、私達を追い抜いた。


「あ、待って蒼空くん!」

女子達は後を追って走り出す。

解放されたことに、ホッとしたのもつかの間。

中心となっていたひとりが振り返り、キッとありさを鋭く睨みつけた。


「……」

うわ……最悪。


「あり……さ?」

気にしない方がいいよと声をかけようとして、私はキョトンとした。


だって、ありさはポカンと口を開けて、とても驚いた顔をしていたから。

目の焦点はどこにも合っていない。


「ありさ?」

「あ、ごめん!あたし達も急ごう」


もう一度声をかけて、やっとありさはこっちを向いて返事をしてくれた。