すき、きらい、恋わずらい。



そのまま、ありさの気持ちも、影山くんとの関係も、篁くんの様子も、何ひとつ変わらないまま……気付けば週末になっていた。

学校はもちろん休み。

そして今、私がいる場所は――。



「もうちょっとで出来るから待っててねー!」

すぐそこのキッチンから、ひょいと顔を出して言うのは……お母さん。


小さなテレビの前。
ローテーブルを目の前に、座った私が「うん」と頷くと、お母さんは嬉しそうに微笑んだ。


ワンルームのこじんまりとした部屋に、美味しそうな匂いが漂う。

白や淡い黄色など、明るめの色で統一された雑貨。

真新しいものや、所々見慣れたものもあるこの部屋は、お母さんが暮らす家。


ジューッというフライパンの音と一緒にお母さんの鼻歌が聞こえてきて、フッと笑う。

だけど、キッチンの近くに置かれたラックの上のものが不意に目に入って、私は眉をひそめ目をそらした。



「ごめんね、お母さんのお祝いなのに」

ローテーブルの上に並べられたハンバーグに、ポテトサラダに、スープ。

全部、お母さんの手作り。

今日はお母さんの誕生日のお祝いをしに来たはずなのに、どういうわけかご飯を作ってもらってしまった。