「この前も言ったけど、一人でそんな我慢して頑張って、何になんの?」
「何に……って」
「少しは高宮の望み通りになってんの?」
「っ……」
どうして。
何も知らないはずなのにどうして、篁くんはそんな一番痛いところを突いてくるんだろう。
「そもそも、望みなんて……」
ない、って言ってしまいたい。
だけど言えない。
だって……ある、あった。
私の、たったひとつの願いごと。
でもそれは……。
「もう、いいんじゃねーの。あんた、限界って顔してる」
「……」
「素直になれば」
何も言い返せず立ち尽くす私に、篁くんはそう言って背中を向けた。
素直に……って、なんのこと。
私は嘘をついて生きてきたつもりはない。
いつだって正直に、自分の気持ちに素直に従って選択肢を選んできた。
それなのに、素直になれ……なんて。
「高宮」
ふいに名前を呼ばれて見ると、階段を降りていた篁くんが足を止め、こっちを見上げていた。
「図書室で女子と一緒にいたわけじゃない。ひとりだったから」
「……は」
私の返事も聞かず、一方的にそう言い残し、篁くんはまた階段を降りていく。
「……意味わかんない」
ぽつり、遠ざかっていく背中に呟く。
意味が分からない。
篁くんの言うこと、全部。
なのに、ぎゅっと掴まれたみたいに胸が苦しいのは……どうして?



