「なに、本当に俺のこと気になって来た?」
篁くんは、私の顎をクイっと持ち上げ、目の前で勝ち誇ったように笑った。
は……?
篁くんのことが、気になってきた……?
「なっ、そんなんじゃないっ!」
ハッとした私は篁くんの手を払いのけ、怒鳴りつける。
「そういう意味で言ったんじゃなくてっ……」
「じゃあ、どういう意味?」
「っ、それは……」
間髪入れず問いかけられて、どもる。
どういう意味かと聞かれても、深い意味なんてない。
だって、篁くんが女の子と一緒にいるのなんて、いつものこと。
だから、いつも通りにしていたのか聞いただけ……なんだけど。
「篁くんは、誰かを本気で好きになったりしないんだよね……」
「は……?」
私達以外には誰もいない階段の踊り場。
静かに響いた言葉に、篁くんが眉を寄せる。
「私も誰も好きになったりしない。恋とか愛とか分かんないし、信じてない」
何を言っているんだろうって、自分でも思う。
チャラチャラして、誰彼構わず女の子と関係をもつ、篁くんのことが嫌いだったのに。



