すき、きらい、恋わずらい。




「そんなにボーッとしてたら、そのうち大ケガするぞ」


床に落ちた私のカバンを拾い上げ、篁くんが告げる。

私はそれを受け取りながら、バツが悪くて黙り込む。


だって、篁くんの言うとおり。

篁くんが助けてくれなかったら、このカバンのように転げ落ちていた。

今日だけじゃない、日曜も。
篁くんがいなかったら、私は車に轢かれてしまっていたかもしれない。


一度ならまだしも、二度。
しかも、数日の間にこんなの……さすがのあたしだって、言い返すことは出来ない。

それに……。


「あんたここんとこ、俺のこと避けてんの?避けてねーの?」


続けざまに篁くんに問いかけられ、目を逸らす。

避けたいという自分の感情と、篁くんに近づきたいというありさの気持ち。
その両方から私が起こしていた行動は、篁くんにしてみれば意味が分からないと思う。

かと言って、正直にありさの気持ちを打ち明け釈明するわけにもいかないし……。


黙って目を逸らし続けていると、「まあいいや」と口を開いたのは篁くん。