「わたしはもう近づけないから」
原田さんは一言だけ返した。
篁くんと女の子達の暗黙のルール。
それは、関係を持てるのは〝一度だけ〟
それ以降はもう……近付かない。
……ということはやっぱり、篁くんは原田さんと……。
この期に及んで『何もなかったんじゃないか』と思っていたわけじゃないけれど、ぎゅうっと拳を握る。
だって……。
「蒼空、おはよ」
考えごとをしていたその時、正に今思い浮かべていた人の声が聞こえてきて、ハッと顔を上げた。
するといつの間にか、私の横にありさの姿。
そして、そのありさが声をかけていたのは……篁くん。
思わず目を丸くする私。
ありさから挨拶するなんて、篁くんも驚いたのかもしれない。
少し間を置いてから、「はよ」と挨拶を返していて。
「高宮もおはよ」
ここぞとばかりに、篁くんは私にも声をかけてくる。
だけど私は返事とか、それどころじゃなくて。



