***
「あっ、ゆづ!」
翌日。家を出て学校へと向かっている途中、ありさとバッタリ出会した。
「おはよう」と、いつも通り笑顔で挨拶をして、私の隣に並んだありさ。
「おはよ……」
私もとりあえず返事はするけれど、
昨日の今日で気まずい……。
そんな心の声が、ありさに聞こえてしまったのかは分からない。
「昨日はいきなりあんなこと言っちゃって、ごめんね」
「えっ……」
「今朝ね、本当は蒼空のこと待ってみようと思ったんだ。でも……恥ずかしくなって、先に来ちゃった」
「へへっ」と、はにかんで笑ってみせるありさ。
人を好きになったことのない私でも、本当に篁くんに恋をしているんだな……って、見て分かる。
ちくん……と、また胸の奥が痛む。
そんな自分に自己嫌悪して、黙り込んでしまっていると、
「大丈夫だよ。ゆづに協力してほしいとか、そういうわけじゃないから」
ありさは穏やかな表情で、そう言った。
「ただ正直な気持ち、ゆづには聞いてほしかったんだ」