「でもさぁ……」
ギュッと枕を抱えて、ゴロンと寝返りをうつ。
ありさが篁くんのことを好きなんて……私の気持ちがついていかない。
明日からどんな顔をして、篁くんを見ればいいのよ。
ありさが好きな人なのに、そんな……軽蔑するような目で見るのは、悪い気がする。
……ていうか。
そもそも好きって何なんだろう。
何でありさは、あんな人を好きなんだろう。
恋や愛なんて、いつかは消えてなくなるのに。
……ぜんぶ、嘘なのに。
「……」
ベッドに横たわったまま、そっと視線を上げてみれば、勉強机の上に置いた紙袋が目に映った。
もうすぐお母さんの誕生日。
どうしよう……と、思うのは、他でもない父さんのこと。
再婚したいって言われたなんて……お母さんには言えない。
だって言ったら、きっとお母さんは……。
考えただけで苦しくなって、私は抱きしめた枕に顔を埋めた。
……みんなバカだ。
恋とか愛なんて、一時の感情。
嘘でしかないのに。