「……え……?」


ありさの声は、真っ直ぐ私に届いた。

だけどその言葉を、私はすぐには理解出来なかった。


だって……。

本当はずっと、好きだった……?

……篁くんを?


「ま、待って。嘘でしょ……?」

「嘘じゃないよ。ゆづと友達になるより前から……子どもの頃からずっと、蒼空のことが好きだった」

「……」


真っ直ぐ、真面目な顔をして言うありさに、言葉を失う。


「前にも話したけど、蒼空がああなっちゃったのはお母さんのことがあってからで……。本当は違うの。すごく優しい人なの」


顔を赤く染めたまま、訴えかけるようにありさが言う。


本当は違う、って。
すごく優しい人……って。

――まさか。
そんなこと、あるはずない。


そう思うのに、声には出せなかった。

何故だか分からないけど、胸の奥がチクンと痛むような気がして。


幼なじみで、私よりもずっと篁くんとの付き合いが長いありさ。

そんなありさに、真剣にそう言われたら……否定することなんて、出来なかった。