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「……ありさ? どうしたの?」


いつものように一緒に学校を出た私たち。

だけど隣を歩くありさの様子は、いつもとは少し違った。


「え?」

「さっきからずっと黙り込んでるから……。何かあった?」

「……」


私が問いかけ覗き込むと、ありさはゆっくりと足を止める。

そして、


「ゆづは昨日……ううん、なんでもない」


何かを言いかけて口を閉じた……と、思ったら、


「ひとつ、聞いてもらってもいい?」


少し困ったように微笑んで、ありさは首を傾げた。


「う、ん……」

なんだろう。
ほんの少し改まったありさの様子に、ドキドキと緊張する。

でも、私よりももっと、緊張しているのはありさだった。


「あのね、今まで誰にも言ったことなかったんだけどね……」


キョロキョロと、周りを確認して。

一瞬にして顔を真っ赤に染めたありさは、きゅっと目をつむる。



「ゆづだけに言う。あたし、本当は……ほんとはずっと、蒼空のことが好きだった……」