なのに……。
何で昨日、私を追いかけてきたんだろう。
嫌いなら、放っておけば良かったのに。
追いかけてきた篁くんが、私にしたこと。
思い出したら、胸の奥がきゅっと狭くなるような……そんな感じがした。
どうしてこんな気持ちになるのか、自分でもよく分からないけど……。
「ゆづ、帰ろう」
声をかけられ、ハッと顔を上げると、微笑むありさが目の前に立っていた。
「あっ、うん」
今考えていたことを、忘れるように頷いて立ち上がる。
篁くんのことなんて、考えるだけ無意味。
原田さんと出て行った、女の子を好きなように取っ替え引っ替えする最低な男というのが、彼の事実なんだから。
だけど、彼のことを考えていたのは……私だけじゃなかった。



