すき、きらい、恋わずらい。



――それから。


原田さんが放課後に約束を取り付けたこともあってか、みんな自然と篁くんから一歩引いた様子で、彼の周りはいつもより静かだった。

……と言っても、教室の外ではきゃあきゃあと騒ぐ女子たちの姿があって、いつも通りというか、相変わらずではあったけど。


私はというと、篁くんと会話はひとつもしていない。

前後の席だから、話しかけられそうになることはあった。
でもそれを、私は無視して避けて。


そして……放課後。

最後の授業を終えた教室は、号令の後一瞬にして騒がしくなる。

余計なことを考える羽目になる前にと、私は机の中の荷物をカバンに詰め込んで、帰る準備をしていた……のに。


「……高宮」

後ろの席から、私を呼ぶ声。


振り返ったりはしない……けど、こうして無視することに、少し罪悪感はある。

昨日、話を聞いてもらったくせに、こんな態度をとるのは、都合が良すぎかなって。

でも……。


「蒼空くん、蒼空くんっ!」

私がどうしようか迷っていると、聞こえたのは原田さんの声。