「昨日、間に合った?」
「……え?」
「お父さんに頼まれた用事。急いでたから、間に合ったかなって思って」
「あ、あぁ……うん。おかげ、さまで……」
あれ……?
もしかして本当に用事があって抜け出したと、影山くんは思っているの?
あんな見え見えの嘘だったのに……。
何故だか心臓がバクバクする。
嘘がバレていないのならば、それほど助かることはない……のだけど。
見るからに委員長タイプの、頭の良さそうな影山くん。
何となく信じられなくて、一度俯いた視線を上げると、
「なに?」
「あっ、いや、なんでも!」
不思議そうに首を傾げられ、私は慌てて首を横に振った。
わざと気付いてないフリする理由もない……よね。
なんだ、良かった……と、やっとホッとする。
そんな私に、影山くんは「そうだ」と、何か思い出したように声を上げた。
「また今度でいいんだけど、放課後とか時間もらってもいい?」
放課後に……時間……?
「っ、えっ!?」
なに、影山くんも篁くんと同じなの?
――なんて、一瞬でも思ってしまった私はバカ。



