そして……翌日。
「ゆづ!」
登校してきた私に真っ先に声をかけてきたのは、ありさ。
「わ、おはよう」
教室に入るなり飛び出すように現れたありさに、少しだけびっくりする。
昨日あれから、家に帰ってから、『今日はいきなりごめんね。大丈夫だから』というやり取りをスマホのメッセージでした。
だけど、
「大丈夫……?」
心配そうに目を潤ませるありさ。
……だよね。
いくら大丈夫と言っても、あんな風に突然いなくなって、説明なして納得……なんてわけには、いかないよね。
「大丈夫。ちょっと父さんと言い合いになっちゃって、気分悪くてさ」
私はあえて苦笑しながら、軽い様子でありさに言った。
彼女と再婚したいって言われたこと……言えないわけじゃない。
だけど言ってしまったら、ありさはきっとすごくすごく心配してしまうから。
心配はかけたくない。
強い私でいたい。
「そっか……」
父さんと私の不仲を知っているありさは、そう小さく呟いた。そして、「無理しないでね」と続けてくれた。
深く踏み込もうとしないのは、きっと私のため。



