「は……?」
思っていたより弱い……?
「なに、言ってんの……?」
私が弱いなんて、そんなことはない。
だって、平気。
両親が離婚しても。
大好きなお母さんと一緒に暮らせなくても。
父さんが女の人の所へ行ったっきりで、帰って来なくても。
なのにーー。
「っ……」
どうして私の目から涙が溢れているんだろう。
脳裏に焼き付いて離れないのは、父さんが連れた女の人の……左手の薬指。
そこには、大きな石の付いた指輪が輝いていた。
その意味は、聞かなくったって分かる。
だからそれを見た瞬間、私は逃げ出そうとした。
ううん、本当は……『話がある』とメッセージをもらった時から、薄々予感はしていた。
だから、絶対に話なんて聞きたくなかった。
だって、再婚とか、そんなの……。
「ふっ……うっ……」
泣きたくなんかないのに。
勝手にこぼれ落ちてくる涙に、両手で顔を覆う。



