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「ゆづは? 何にする?」

「えっ?」

声をかけられ、ハッとして隣を見ると、ありさがメニュー表を差し出していた。


あれからみんなと合流して、予定通りオムライス専門店へと向かった。

すると、新しくオープンしたこともあって混んでいて。

順番待ちの用紙に名前を書いた私達は、お店の前に並べられた椅子に座って、待つことにした。


「あ、うん……どれにしようかな……」

適当に返事をしながら、それを受け取る。

ボーッとしすぎて、メニュー表が回ってきたことにすら気づかなかった。


視線を落とせば、黄色いふわふわの玉子にくるまったオムライスがずらり。

定番のケチャップ、デミグラスソース、ホワイトソース、グラタン風までバラエティ豊かに並んでいる。


お昼を過ぎて、さっきまでとてもお腹が空いていた……はずなのに。

どうしよう……食べたくない。食欲ない。


「ゆづ?」

「っ!?」

ありさに顔を覗き込まれ、ビクッとする。

見るからに、心配そうな顔をするありさ。