それから私達が足を向けたのは、スキンケア商品やバス用品を扱っているショップ。
一歩踏み込めば、ふわりと良い香りに包まれた。
「無難だけど、こういうのもいいよね」
ずらりと並んだ色とりどり、色んな形のバスボールに、ボディクリーム。
自然と各々と歩き出し、ふと私の目に付いたのは、『疲れているあなたへのご褒美に』というポップ。
最近、ちょっと仕事忙しそうだし、これとかいいかも……。
そう思いながら手を伸ばしたのは、詰め合わせになっているギフトセット。
「それかわいい!」
横からかけられた声に隣を見ると、立っていたのはありさ。
「あ、これね……先生にじゃなくて、お母さんのプレゼントにどうかなって思ってて」
「お母さん?」
「うん、もうすぐ誕生日なんだ」
私が告げると、ありさは「あっ!」と声を上げる。
「もしかして、前に言ってた買い物って、そのこと?」
『うん』と、私が返事するよりも早く、「選ぼう選ぼう!」と続けて、ありさは真剣な眼差しで目の前のギフトセットを見始めた。



