すき、きらい、恋わずらい。


横から口を挟んできた篁くんに、ありさは一瞬驚いた顔をした後、

「そ、そっか……だよね」

少しシュンとした様子で、手にしたフォトフレームを元に戻す。


篁くんの言う通り、クラスのみんなの写真を入れることには賛同しかねるけど……。


「これ自体はいいんじゃない?」


私はありさが置いたそれを手に取る。


「フォトフレームなら、何個かあっても困るものじゃないし、うちにも……」

「うちにも?」

「あ、いや、これすごくかわいいし、きっと先生喜んでくれるんじゃないかなって」


影山くんに問いかけられて、ハッとした私は、慌てて言おうとしていた話を変えた。

そして反射的にフォトフレームを戻すけど、手にはじわりと冷や汗。


……何を言おうとしていたんだろう。

脳裏にフッと浮かんだのは、生まれた時からリビングに飾られていた写真。

今はもうない写真。


「じゃあ、とりあえずこれは候補ってことで、他の店も少し見て回ろうか」

影山くんの提案に、私は頷こうとする……けど、どういうわけかまた篁くんと目が合った。


なんか、ずっと見られている気がして。

真顔でこっちを見るその顔が、心の中を読んでいるようで……。

私はパッと顔を背けた。