「でも、みんなに見られて、すごい恥ずかしかった……」

小さくため息をつくありさの後ろからは、篁くんが歩いてくる。


「一緒に来たんだね」

「あ、うん。家出たらちょうど蒼空がいて……」


「篁くん、おはよう」

「……はよ」


私とありさが会話をしていると、追いついた篁くんに声をかけたのは影山くん。

笑顔の影山くんに対し、篁くんは素っ気ない返事。


「なんか、いつもと雰囲気違う?」

首を傾げ尋ねる影山くんに、「べつに」と篁くん。


こんな態度に、私はもう慣れているけれど。

そっか……影山くんは、学校でニコニコと女子を相手にしている姿しか知らないから……。


そんなことを考えていると、パッと篁くんと目が合った。


な、なに……?

じーっとこっちを見られて、何だか気まずい。


「そ、それじゃあ、みんな集まったことだし行こっか」

耐えきれなくなった私は、わざと目をそらすように声を上げた。