「ねぇ、そこにすっごいカッコイイ人がいたんだけど」

「えー!マジ? ちょっと声かけにいこうよ!」

「ダメダメ。女と一緒だったもん、彼女じゃないかな」

「えー!!」


ふと聞こえてきた会話。
そして何やら騒がしい周り。

私と影山くんは、同じことを考えたみたいで顔を見合わせる。

そして、騒がれている方へ向かってみる……と。


思った通りだった。

駅の案内板の横。
並んで立っていたのはありさと……篁くん。


遠巻きに女子達から熱い視線を向けられ、篁くんはそれを明らかに無視して目を逸らしている。

その隣のありさも、気まずそうに俯いていて。


「ありさ!」

「あっ、ゆづ!」

私が声をかけ手を振ると、パッと顔を上げて嬉しそうに駆け寄ってきた。


小花柄の淡いピンクの膝丈ワンピースに、カーディガン。

髪の毛はハーフアップにされていて。


ありさはいつもかわいいけど……。

「今日、すごくかわいいね」

私が言うと、「ありがとう。このワンピ着てみたかったんだ」と、はにかんだ。