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「かんっぺきに油断してた……」


ありさとふたり、並んで歩く帰り道。

ガックリと肩を落として言うと、ありさは苦笑した。


最近近寄ってこなかったから、まさかあのタイミングで現れるなんて思わなかった。

しかも、俺も行きたい……なんて。


「ちょっとびっくりしたよね。あたしもびっくり……。蒼空、なに考えてるんだろ」


ぽつり、ありさが呟く。

幼なじみのありさでも分からないのだから、私に彼の考えていることが分かるはずない。


「ゆづ、大丈夫? もし嫌だったら、あたしが蒼空達と3人で……」

「それはダメ」


言いかけたありさに、私は首を横に振る。

もともとこれは私の仕事だもん。
それなのに、ありさに全部押し付けるなんて出来ない。


「大丈夫、私も行くよ」

ありさも一緒なんだし、大丈夫。

私は自分にそう言い聞かせて、これ以上ありさに心配をかけないように、にこりと微笑んだ。