何か変なことでもされたんじゃないか。

そう思って自分の制服を確認するけれど、何も変わったところはない。

……ていうか、さすがに触れられたりしたら、目が覚めると思う。


じゃあ、なんで……?

首を傾げつつ座席に座ると、


「おかえり。災難だったね」

先に隣に座っていた影山くんが、そう声をかけてきた。


「災難?」

「うん。また篁くんにちょっかい出されて遅れたんでしょ」

「……」

苦笑していつものことのように言われて、少し戸惑った。


付き合えと言ってきたのは確かに篁くんだけど、集合時間に遅れたのは私のせい。

なのに、影山くんも先生も、遅れたのは篁くんのせいだと思っている。

普段の行いが悪いからだと言えばそうだけど……でも……。


急に罪悪感のようなものを感じて黙り込む私に影山くんは気付かず、「そうだ」と声を上げて、

「番号教えてよ」

ポケットからスマホを取り出し、差し出してきた。