「こっわいなぁ、お局さまは」

クスりと増田先生が、苦笑いして呟く。


「あの、さっき結婚とかって……」

「あ、そうなの。そろそろみんなにも言わなくちゃって思ってたんだけど、6月に結婚することになってて」

気になったことを素直に口にすると、先生は「山本先生にバラされちゃったけど」と、舌を出しておどけてみせた。


結婚……。

その言葉に少しドキッとしながらも、


「おめでとうございますっ!」


私が言うと、増田先生は「ありがとう」と、少し照れた様子で微笑んだ。


「でも、フォローするのは今回だけだからね。次からはこんなことのないように」

「先生、なんで……」


そうだ。どうして先生は、遅れたことをフォローしてくれたんだろう。

そう思って私が口を挟むと、


「篁くんはともかく、高宮さんはわざと遅れたりするような子じゃないと思うから」

「俺はともかくって、なんなんすか」

「だってそうでしょ。篁くんは変なウワサばっかだし」


さらりとあしらう増田先生に、あははと苦笑する篁くん。


「それじゃあ先生ちょっと学校に電話かけるから、ふたりとも先にバスに乗ってなさい」