「高宮さん、あなたは学級委員なんでしょ?」

「はい」

「だったら……!」


誤っているのに、まだまだ続きそうなお説教。

キンキンと響く声に、耳を塞ぎたくなる……と、そこに、


「山本先生!」


声を上げ駆け寄ってきたのは、担任の増田先生。


「高宮さん達、迷子の子を連れて行ってくれてたみたいですよ!」

「え……」


増田先生の発言に、驚いた声を上げたのは山本先生と……私。

だって、迷子のそらくんをインフォメーションまで連れて行ったことは、遅刻とは何の関係もない。


増田先生は私を見て、合図するように軽くウインクをすると、

「スタッフの方がとても助かったと言っておられました。ですから山本先生、今回は……」

そっと宥めるみたいに言ってくれた言葉に、「そ、そう……」と、なんだか不服そうな返事をする山本先生。


「そういうことなら大目に見ますが、せめて連絡くらいするように! 増田先生も、結婚が近いからって浮かれすぎなんじゃないですか?生徒の指導はちゃんとしておきなさい!」

ビシッと人差し指を差し、早口でそう言い捨てると、山本先生は逃げるようにバスへと乗り込んだ。