戦いは終わり、力尽きて倒れた仁登里は医務室に運ばれた。

「仁登里」

私が名前を呼ぶと、寝返りを打つ。

「ああ、皆川さん。私、少し無理をしてしまいました……やっぱり他の人に任せた方が早かったでしょうか?」

本当にそう思っているの?
普通の魔導士と一線を画す能力があるのに、自分に自信が無いふりをする。

「そういえば、質問に答えていませんでした。私が力を抑える理由は……」

とうとうこの時が来た。
仁登里は起き上がった。

「一つの力にこだわり、他を軽んじる人が多かったからです。障気に当てられた人を癒したり、魔力を他の人に渡す役割は、力が弱い人のすることだと考えられていましたから……」

確かに、見習いや弱い人がやらされることだと思っていた。無意識に、そう思ってしまっていた。

「どの役割も必要とされている。一つでも欠ければ私たちは戦えなくなります。そして、支援役は誰にでも出来ることではありません。簡単なことでは無いのです」

私は仁登里たちに助けられていた。
シンクに攻撃することだけが最前線で戦うこと、ではない。
どの役割だって重要で、誇りを持つべきことだ。

「でも、今日は自分のために力を使ってしまいました。弱いから魔力を渡している訳ではないとわからせたかったのです」

そう言って仁登里は頭をかく。

仁登里は決して弱くない。いや、強い。尊敬する。
仁登里が話してくれるたび、昔の自分が壊れる。