終わりから始まる、その軌跡

そういえば、――

どうせバイト先で賄いが出るからと、昼は食べずに抜いたんだった。

口にしたのは紗耶香に貰ったチョコを二つだけ。


……って、あああああっ。

もう!!

思い出してしまったじゃないか。


紗耶香、――。

紗耶香、――。

紗耶香、ちゃん。

僕のネガティブな元凶、紗耶香ちゃん。


彼女とは付き合い始めて三ヶ月になる。


「恭ちゃん」


いつも少し困ったように眉を下げて。


「明日は日曜だし、恭ちゃんち、泊まってってもいい?」


甘えるような上目遣いで、瞬きをするたびに長い睫毛がふわんと揺れる。

きめ細かな白い肌とぷるんと口角の上がった唇。

そして、華奢なのにEカップ!!

断る理由なんて、ないわけで。


「バイトで遅くなるけど先に部屋で待ってて」


合鍵を渡して「また後で」って別れてさ。


「……っ」


うううううっ。

泣けてくるよ、…ったくね。