ラウンジと書かれたカラオケスナックからは、懐かしの昭和歌謡が聞こえ漏れてくる。

軒並みシャッターが下ろされた商店街を突き進んでも、気軽に入れそうな店なんか見当たらない。


仕方ない。

駅まで戻るか。

終電にはまだ時間もあるし

今なら誰か泊めてくれるやつを探せるかもしれない。


とにかく、一人でいたくなかったんだ。


駅のマックって何時まで開いてたっけ。

まあ最悪、ネットカフェだってあるんだし。

カラオケで時間を潰したっていい。

そうだな、賑やかで音が溢れている場所が、いい。

誰かの声がすぐ耳に届くような、そんな場所。


とりあえず、屋根があって。

ちょっと座って……。

とりあえず、とりあえず……。


あああ、もう。


寒すぎて、思考回路が纏まらない。


ちょっと、落ち着こう。

そう、落ち着ける場所、――。

贅沢は言わない。

せめて温かいコーヒーが飲めるような……。


どこか、――。

どこか、……。


そう思い、踵を返した時だった。










「……ん??」