罪悪感と一緒に小さく疎外感が芽生え始める。自分だけが一方的に無視を決め込んでいる為、非常に感じの悪い嫌な定員だと思われているに違いない。
スズランは鼻の頭まで湯船に身を沈め、お湯の中で長く息を吐いた。吐き出された空気は気泡となりぶくぶくと水面で弾ける。心の中のもやもやもこの泡の様に弾けてしまえば良いのに……そんな事を考えていたらすっかりとのぼせてしまった。
「なんだかすっきりしないなあ」
浴室を出て居間に戻ると、長椅子に座り神妙な面持ちで本と向き合うセィシェルが目に入る。スズランに気づくと適当に本を投げ置いた。
「セィシェル! 今休憩?」
「長風呂しすぎ…。のぼせて林檎みてぇになってんじゃん」
「ちょっと考え事してたの!」
「……あっそ。髪、乾かしてやるから来いよ」
「セィシェルだって疲れてるのに…、でもありがとう」
「別に…」
セィシェルが吹かせる微風は火照った身体にとても心地よく、スズランのもやもやと燻る心をほんの少し軽くした。
「ねえ。さっき何の本読んでたの?」
「あー、なんかソニャの奴がお前に貸すってよ。お勧めの小説だとか…。俺も読めとか言われてちらっと見たけど訳わかんねぇ」
ソニャは小説──。主に恋愛小説を読むのが趣味である。毎回新作を読み終えると半ば強制的に勧めてくる。
スズランは鼻の頭まで湯船に身を沈め、お湯の中で長く息を吐いた。吐き出された空気は気泡となりぶくぶくと水面で弾ける。心の中のもやもやもこの泡の様に弾けてしまえば良いのに……そんな事を考えていたらすっかりとのぼせてしまった。
「なんだかすっきりしないなあ」
浴室を出て居間に戻ると、長椅子に座り神妙な面持ちで本と向き合うセィシェルが目に入る。スズランに気づくと適当に本を投げ置いた。
「セィシェル! 今休憩?」
「長風呂しすぎ…。のぼせて林檎みてぇになってんじゃん」
「ちょっと考え事してたの!」
「……あっそ。髪、乾かしてやるから来いよ」
「セィシェルだって疲れてるのに…、でもありがとう」
「別に…」
セィシェルが吹かせる微風は火照った身体にとても心地よく、スズランのもやもやと燻る心をほんの少し軽くした。
「ねえ。さっき何の本読んでたの?」
「あー、なんかソニャの奴がお前に貸すってよ。お勧めの小説だとか…。俺も読めとか言われてちらっと見たけど訳わかんねぇ」
ソニャは小説──。主に恋愛小説を読むのが趣味である。毎回新作を読み終えると半ば強制的に勧めてくる。



