意思の強そうな眉はその双眸を更に引き立て凛とした印象を相手に残す。
髪は今まで見たことの無い焦がし砂糖を垂らした様な不思議な色合いで、触り心地の良さそうな癖毛だ。少し長めの後ろ髪は襟足で一つに結えられている。
鼻筋までかかる前髪から除く端正な顔立ちに、すっかり見蕩れてしまっていた───
しかし店内で誰かが食器を落としたのか、陶器の割れる派手な音ではっとする。
「あ、あの……お客さん…?」
瞳を大きく見開いている目の前の男に、恐る恐る声をかけてみると漸く短い言葉を発した。
「君、さっき店の裏で…」
「??」
(え? 誰かと間違ってるのかな…)
店の裏とは何を指すのか。
確かにスズランは店の裏で仕事をしていたがその間、誰とも顔を合わせていない。
強いていえば先程王宮の森で警備隊員と遭遇したが……森の中は薄暗く顔はよく見えなかったものの、警備隊員は背が高くマント姿で大柄に見えた。今目の前にいる好男子には到底思えない。
少しの沈黙の後、男はぱっと表情を明るくした。その甘い笑顔にスズランの心臓が小さく跳ねる。そしてどこか気品に満ちた動作で椅子から立つと突然名乗りをはじめた。
髪は今まで見たことの無い焦がし砂糖を垂らした様な不思議な色合いで、触り心地の良さそうな癖毛だ。少し長めの後ろ髪は襟足で一つに結えられている。
鼻筋までかかる前髪から除く端正な顔立ちに、すっかり見蕩れてしまっていた───
しかし店内で誰かが食器を落としたのか、陶器の割れる派手な音ではっとする。
「あ、あの……お客さん…?」
瞳を大きく見開いている目の前の男に、恐る恐る声をかけてみると漸く短い言葉を発した。
「君、さっき店の裏で…」
「??」
(え? 誰かと間違ってるのかな…)
店の裏とは何を指すのか。
確かにスズランは店の裏で仕事をしていたがその間、誰とも顔を合わせていない。
強いていえば先程王宮の森で警備隊員と遭遇したが……森の中は薄暗く顔はよく見えなかったものの、警備隊員は背が高くマント姿で大柄に見えた。今目の前にいる好男子には到底思えない。
少しの沈黙の後、男はぱっと表情を明るくした。その甘い笑顔にスズランの心臓が小さく跳ねる。そしてどこか気品に満ちた動作で椅子から立つと突然名乗りをはじめた。



